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遺言について 1 ~方式など~

  • 臼倉夕佳
  • 2025年2月27日

遺言書を残したほうがいいことはわかっている・・・。
でも、どうやって?書き方は?保管方法は?
今回は、遺言書の種類やルール、保管方法などについて書かせていただきます。

そもそも、遺言とはなんでしょう?
遺言とは「死後の法律関係を定める遺言者の最終意思の表示」のことです。

民法上、遺言でのみできるとされる”遺言事項”があります。

遺言でのみできるもの生前でも、遺言でもできるもの
・未成年後見人の指定
・未成年後見監督人の指定
・相続分の指定
・遺産分割方法の指定
・担保責任の指定/免除
・遺贈
・遺言執行者の指定/指定の委託
・受遺者又は受贈者の負担額
・認知
・推定相続人の廃除
・特別受益の持戻免除
・信託
・祭祀に関する権利承継の指定


遺言の様式性

遺言は民法に定められた一定のルールに従わなければなりません。

遺言のする能力

遺言は15歳にならないとすることができません。また、遺言は代理をすることは認められません。遺言の性質上、遺言をする本人の意思を尊重するべきだからです。

共同遺言の禁止

遺言は、複数の人が同一の証書ですることはできません。
例えば、どんなに仲良しな夫婦で遺したいことは同じであっても、ひとつの遺言書ですることはできず、必ず別々の遺言書を用意する必要があります。
(判例では、1通の証書に2人が遺書を記載した場合であっても容易に切り離せるなら有効・・・といった例もありますが、トラブル回避のために、必ず1人1通の遺言書を作りましょう)

遺言の種類・方式

遺言には「普通方式」と「特別方式」があります。

普通方式

普通方式の遺言には
1.自筆証書遺言
2.公正証書遺言
3.秘密証書遺言
の3種類があります。この記事では自筆証書遺言と公正証書遺言について触れています。

特別方式

特別方式の遺言には
1.死亡危急者遺言
2.伝染病隔離者遺言
3.在船者遺言
4.船舶避難者遺言
の4種類がありますが、ここでは割愛させていただきます。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者が遺言書の全文、日付、氏名を自署し押印して作成したものです。

要件

上記に書いたように、その全文、日付、氏名を自署して押印をすることが要件となります。この要件がひとつでも欠けると、その遺言書は無効となってしまいます。

・日付:客観的にいつ成立した遺言かわかる日付でなければなりません。「令和7年2月吉日」とか「令和7年2月晴レノ日」などは要件を満たしません。「古稀祝賀の日」などは客観的にみてわかるのでOKですが、わかりやすいに越したことはないので、強いこだわりがなければ「令和7年2月22日」などとはっきり書きましょう。

・自署:プリンターで印刷したり、コピーしたものは「自署」には当たらず要件を満たしません。

・押印:印鑑などによる押印だけではなく、指印でもよいとされています。一方、花押などは「押印」には当たりません。

財産目録

遺言書に添付する財産目録は、プリンターで印刷したり通帳のコピーなどでも大丈夫です。ただし、」偽造を防ぐために、全てのページごとに遺言者の署名押印をします。

加除や変更について

自筆証書(財産目録を含む)中の加除その他の変更は、遺言者がその場所を示して変更した旨を付記し、これに署名をし、その変更の場所に印を押さなければなりません。

自筆証書遺言書保管制度 ←リンクになっています

遺言書は公的機関である法務局に保管するように申請するこることができます。
ただし、この制度を利用する場合は更に守るべきルールがあります。
用紙はA4で、上部5mm、下部10mm、左20mm、右5mmの余白をとる・・・など。
詳しくは下のリンクをご確認ください。
https://www.moj.go.jp/MINJI/03.html

あれこれルールが増えるデメリットはありますが、それを上回るメリットが自筆証書遺言保管制度にはあります。

遺言書は法務局に保管されるため、相続人など利害関係人に改ざんや破棄隠匿などをされることがありません。遺言者が遺言書を無くしてしまったり、遺言書を忘れてしまっても安心です。
また、保管申請時に民法の定める要件を満たしているか、保管官がチェックをしてくれます。(あくまで様式のチェックであって、遺言の内容そのものの有効性などの保証はされません)

遺言書は、原本が遺言者死亡後50年間、画像データは遺言者死亡後150年間保存されます。

公正証書遺言

公正証書遺言とは、遺言者が遺言の内容を公証人に口述」し、公証人がこれを筆記して公正証書遺言を作成したものです。

要件

・証人2人以上の立会いがあること

・遺言者が遺言の内容を口頭で公証人に口授すること

・公証人が内容を筆記し、これを遺言者と証人に読み聞かせるか、閲覧させること

・遺言者と証人が、筆記された内容が正しいと承認し、各自これに署名押印すること

・公証人が、その遺言書は上記に掲げる方式に従って作成されたものである旨を付記して、これに署名押印すること



次回は、遺言書を作成した後について書かせていただきます。